金が無くて働きたくない奴のためのスクワット指南 - 長く鬱陶しい前置き-

辛酸よりはやっぱ世間を舐めていたい

「お金ありませんか、はあそうですか。」
「で、えーと働きたくもない、なるほど。」
「実家にも住みたくない、はいはい。」
「え?海外で生活したい?ロンドンがいい?どうして?え?なんとなく?」

という感じで、まずあなたは「世間舐めきってる輩」扱いをどこに行ってもされるでしょう。あなたが現在すでに十分な生活基盤をもっててそれに満足してて別にロンドンにもときめかないなら、今から書くのは読まなかったことにしてください。今から書くのは「世間舐めきってる甘ちゃん」達のための純粋なお得情報ですから。僕は1ヶ月前までこの甘ちゃんライフを2年ほど送ってたので、そのやり方をわかりやすく、でも教えすぎて自分で手探りで見つける楽しさも殺さないように、うまい具合に、包み隠さず、伝授しますので。ねっ?別にそんなの関係ねえってひともいるでしょ?だからそういう人は読まなくてもいいものですよ、ってことです。読んでもいいけど文句いったりしないでください。だってだってだって僕達はただの「世間舐めきってる甘ちゃん」達なんだもん。


す、スクワット!?


まず、いちおうスクワットとは何かってことですけど、超簡単に言えば「自分が所有してもいない空き家に、家賃払わずに住む」ってことです。どうです?どう思いますか?やってみたいと思いますか?思いませんか?正しいことだと思いますか?正しいことではないと思いますか?どっちですか?

・やってみたいと思っていて、しかも正しいと思う人はぜひやってみてください。ただ、「本当に正しいのか?」とちょっと考えてみてください。
・やってみたいと思ったけど、これは正しいことではないんじゃないか?っていうひとは、「正しい/正しくない」っていうのをあなたはどういう基準で判断したのかについて考えてみてください。倫理的な基準、法的な基準、宗教や信条、あるいはなんとなく、いろいろあると思います。ま、いずれにしろ、つまり正しいとあなたが考えたにしろ、正しくないとあなたが判断したにしろ、やりたいのならやっちゃってください。やりたくないのならやらないでください。僕達には、自分が間違っていると思ったことでも遂行することができるのです。そういうのを「しでかす」と言います。
・やりたくないと思っていて、でもこれは正しいと思った人、大人ですね!今後益々のご発展とご健勝をお祈りしております!
・やりたくないと思っていて、これは正しくないと思った人、 なるほどー。

僕自身は「やれるならやりたい。そんなに間違ったことではない。」と思っております。

でですね、なんで最初からロンドンって言ってるかっていうと、ロンドンにはスクワッター、つまり「自分が所有してもいない空き家に、家賃払わずに住」んでいる輩がわんさかいるからなんです。なぜか?それは家賃を払えない/払いたくない人がたくさんいて、空き家もたくさんあって、そして英国の法律が「自分が所有してもいない空き家に、家賃払わずに住む」行為をを容認しているからです。そしてまた世間一般の目もその行為に対して「一定の理解」を示しています。ただしその「一定」がどの程度かということは人それぞれ、立場やなんやかやによって大きく変わります。多くのスクワッターはそんなことあんまり気にしませんが。

あっ、ここは日本であった。。。

日本との違いは何なのでしょう?それは、日本の法律がそれを容認していないことです。家賃を払えない/払いたくない人はたくさんいます。空き家はたくさんあります。でも多くの人にとって、違法であるとされている行為を行うのはとても難しいことです。だから彼らはどっかに居候するとか実家にすむとか、気が進まないけど働いて家賃を払って生活するとか、します。んなことはみんな知ってます。それもできない/したくない人は野宿する人もいます。僕はいつも、「日本の法律でスクワッティングが違法じゃなかったらいいのにな、何故だめなのかな、けっこういい解決法だと思うのにな、僕」と思います。でもそう簡単には僕の思うようには行かないと思います。ですので僕は今しかたなく実家に住まわせていただいてます。実家をスクワッティングしてるという言い方もできますけど、ぜんぜんエキサイティングではないです。

いやでも、日本もロンドンも「地球」っていう意味では同じだ。

なので、ひとまず日本のことは置いといて、簡単に「自分が所有してもいない空き家に、家賃払わずに住」めちゃうロンドンに行きましょう!ロンドン!わくわくするでしょ!汚くて楽しいぜ!いや、でもこういうのって刹那的で現実逃避過ぎるかな?自分勝手すぎるかな?ロンドンで空き家を所有してる人からすれば日本から来た世間舐めきった移民に自分の財産を占拠されるのって死ぬほどムカつくことなのかな?やっぱり?まあでも行きたいってんならそういうことはちょっと忘れて行ってみましょう!甘ちゃんはそういうこと考えちゃいけません!でもやっぱ間違ってるとおもったんなら「ソーリー(御免)」って言って途中でやめればOKです!現実逃避なのがだめだと思う人は、現実に戻ったときになんか建設的なことをやればいいだけの話です。法律の範囲内でもいろんなことができるはずです。ロンドンに行ってもう帰ってこないぜ、という人もぜひスクワッティングからはじめてください!働けばお金もいっぱいいっぱい溜まります!実際、キャリアアップのために(っていうと汚く聞こえるけど)仕事しながらスクワットする人は結構います。つまり、資本がなにもないけど手っ取り早くお金作って自由な生活がしたい、っていう人です。あるいはさっさと借金返済したい、っていうひととか。

ま、じゃあ正しいか正しくないかは置いといて、とりあえずやってみるってことで。

で次回から具体的なスクワットのやり方を書いていきますので少々お待ちを。
んじゃな

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続く
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# by kadooma | 2011-04-15 03:28

1921年のサマーオブラブ

『...ニイチエは「超人」を説いた。スチルネルには「超人」の要はなかった。「超人」は「人間らしい人間」「真人」などと同様、スチルネルにとっては無用な幻影である。自分は「血肉のこの自分」で沢山である。(仏教の「即身即仏」参照)人は生まれながらその人として完全である、その人として生長し、その人として死ねばそれでいいのである。「真人間」にも「超人」にも「犬」にも「仏」にもなる必要もなければ又他から「なれ」という命令を受けることも無用なのである。
 スチルネルはその生前に、彼自身の哲学をどの位まで実生活の上に体現していたかは今考えてみたところで、彼自身以外の、殊に後世の僕等にわかる筈のものではない。そして彼の哲学や、所謂彼の暗示している個人の自由な結合状態というようなものが、果してこの世で実現され得るか否かということも甚だ疑わしいことである。しかし彼の哲学によって人は各自の自我を意識することだけは出来る筈だ。少くとも僕にはそれが出来たと信じている。そして若しかくの如き自覚をもって集合した人々が相互にその自覚した立場を理解し得たら、或は彼の予想した「所有人」の最も自由な結合が出来ないとも限らない。つまり、相互の「わがまま」を認めて許し合う「結合」の状態である。そして、結合することによって相互に自分を利すると考える人々のみが集まればいいわけである。若しその必要を認めなければ、無理にその仲間に這入りこむ要はないのである。それを統治するなん等の権力もない混然たる個人の結合なのである。それがうまくゆくかどうかは別として自分などには一番都合のいい組織のように思われるのである。
 何人も何人を支配したり、命令したりしない状態である。自分の出来ることだけをすればいい。自分の自然の性情や傾向のままに生きればいい。そして出来ないことは他人に任せればよい。自分の能力の領分と他人の能力の領分とをハッキリ意識することである。そして見当ちがいな真似や、余計なオセッカイや、無用な自慢などを相互にしなくなればいいのである。「君は君の好きなことをやり給え、僕は僕の好きなことをやるから」である。「君は何故そんなことをやるのか?」「なんのためにやるのか?」「そんなことはやめたらよかろう」「それは昔から例がない」「それは世間が許さない」「それは道徳的じゃない」(等)ではないのである。
 自分の生きてゆく標準を他に求めないことである。人は各自自分の物尺によって生きよというのである。それ以外にはなんの道徳も標準もないのである。一々聖人や賢人の格言や、お経の文句を引き合に出して来る必要がなくなるのである。約束や習慣はその時々に最も便宜であると思われるものを撰べばよいのである。世の中にこれでなければならないなどという客観的標準は一つだってありはしないのである。人は相互に出来るだけ融通をきかせよである。
 いうまでもなく一種の功利主義かも知れない。しかし名称はなんでもかまわない。名前をつけないと安心出来ない人は自分の好きな名前をつけるがいいのである。...』

(「自分だけの世界」 辻潤)

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# by kadooma | 2011-01-19 00:35

「あれ?・・・俺ってスパイだったんだっけ?」

イギリスで、環境アクティビストのグループに7年間も潜入してスパイ行為や違法行為の扇動のようなことまでしていたという警察官が良心の呵責に耐えかねて寝返ったため、裁判中にもかかわらず検察が逮捕された活動家達に対する起訴を取り下げたというニュースがありました。

リンク:
壊れる前に…: 密偵
Undercover officer spied on green activists
またこの潜入捜査官(7年間ご苦労さまでした。)についてはukインディーメディアに結構前から情報が流れていたようです。

そしてもう一人の潜入捜査官(4年間ご苦労さまでした。)の存在も明らかになり、警察による市民運動への潜入工作という手法そのものが大きな問題になりつつあります。
Revealed: Second undercover police officer who posed as activist

どちらのニュースも、びっくりするのはその潜入期間の長さです。こういうことをやれてしまう警察という組織の、姑息さをはるかに通り越した無邪気さ(バカさ)にはあきれるしかない。
無邪気と言いましたが、やったことの結果はとりかえしのつかないものです。はっきりいってこの件の一番の被害者は潜入捜査をやらされていた警察官たち本人でしょう。この警察官達のやったことはまったく正当化されないが、彼らが生涯の短くはない期間を気まぐれで幼稚な警察の都合のためにむちゃくちゃにされ、しかもこれからもそのことを悔いて苦しみ続けなければならないということにはかなり同情する。

だいたい、「活動家コミュニティー」に「潜入」するなんてとてつもなく簡単なことなのだ。「筋金入り」を装うのなんてファッション感覚ですぐにできるし、「フレンドリーでウェルカムなアクティビストたち」を騙すのも簡単だ。警察が潜入捜査員を送り込むなんて、屁でもないのだ。お金はけっこうかかったと思う。税金が。まあ俺はこっちでほとんど税金払ってないからそこには文句言わんけど。ようするにここで言いたいのは、こういう悪意を持って接近してくる人間を防ぐことはかなり難しい、ということだ。

だが僕たちの考えるべきことはそれではない。
このニュースの本当の意味は、「非暴力直接行動という僕らの世代のプロテストの形態に、警察が並々ならぬ興味を抱いており、しかもちょっと手を貸してしまった。」という点にある。

彼らは、このプロテストがあきらかにペナペナで弱そうなのになぜこんなにしぶとくて人気があるのか、まったく理解できない→近づきたいが、恥ずかしくてどう近づいていったらいいのか分からない→ちょっとその人気に嫉妬もしている→でもやっぱり近づきたいから、仮面をして近づいてみた。→「な、なるほどー」→自分の卑劣さに自己嫌悪

という具合である。なんとなく同情を誘うぜ。

しかしやはり、組織としての警察には同情の余地はまったくない。猿でも知ってる「反省」という言葉を知らない彼らは世界中で同じことを延々やり続けるだろうし、市民をいたぶるだけではなく、警察という組織を形成している下っぱの人間の生活をもめちゃくちゃにしてしまうだろう。特に意味もなく。気まぐれで。税金を使って。うーん、馬鹿なのか?
日本の警察もどうせ似たようなことを始めるでしょう。彼らも世界の馬鹿な組織ランキングではけっこう上位ですから。(「公安くん」とかは馬鹿だけど好奇心が人一倍旺盛なのは結構なのに性格がひんまがってて姑息だから余計困っちゃうよね!)まあ日本の警察官が「筋金入りを装う」のはちょっと難しいだろうとは思いますが(「ゴアパン刑事」は例外)。

ま!とにかく!やさしく笑顔で迎え入れてあげましょう!みなさん!
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# by kadooma | 2011-01-14 22:26

ベルシスターズを流行らせる作戦にまんまと乗せられてください。

The Bell Sistersという、50年代にアメリカで人気のあった姉妹歌手がいたそうです。
50年代にアメリカで人気のあったものが現代ではすっかり忘れ去られている(なかったことになっている)というのはよくあることですが、おそらくこのベル姉妹もどちらかというとそっち側に入るでしょう。日本語でのインターネット上での情報はほとんどなく、アマゾン等の商業サイト以外では唯一、「音楽とデート」という個人の方のブログの記事に、公式サイトからの翻訳を見つけることができたのみです。


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


「おいジッピーどうして目を瞑ってハミングしてるんだい?エスプレッソが強すぎた?」
「・・ベル・シスターズの幻覚が見えるんだ!」
「ベルシスターズ?確か50年代にほんのちょっと歌手活動してたんだよね。あとディナー・ショアの番組でスパイク・ジョーンズと共演してたね!」
「で、でもなんでベルシスターズの幻覚なんだ!?しかもシンシアとケイの両方の幻覚が!」
「いや、今日の台本には、君の脳の音楽を蓄積する部位が突然ベルシスターズの1951年のヒット、バミューダを何度も繰り返す、ってちゃんと書いてあるじゃないか」
「えっ!?俺らが今しゃべってんの台本があるの?」
「頼むよ、ジッピー。僕らの仕事にはあらゆることに台本があるじゃないか・・。今日の分持ってないの?」
「・・そうだった。ここだここだ、"4コマ目、ジッピー台本を見つけ、キメ台詞"」
(ZIPPY; Does It Meta? by Bill Griffith)

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。



僕がベル姉妹を知ったのはNHK-FMでやってたゴンチチの番組でHamboneという曲を聴いたのがきっかけでした。

Hambone: The Bell Sisters & Phil Harris←公式サイトで無料ダウンロードできます。(Hamboneは上から5つめ)

変ですね、物凄く。どうしてこんなに変なんでしょうか?変な曲ですが全米で19位だったそうです。結構人気だったんですね。ドゥーワップのようなノリも少しありますが、ドゥーワップが本格的に爆発するのは少し後のことです。何なんでしょうか?そもそも「ハンボーン」って何だ?

???

と聴いた後に?マークがいっぱい浮かんできたんですが、今までそれを長い間放置したままでした。で、なぜか最近になって一念発起して調べてみる気になりました。以下報告いたします。

まず、この曲のタイトルでもあり、曲の中でも狂ったように繰り返される"Hambone"というのは、どうやら北アメリカの黒人奴隷たちによって生み出されたダンス、あるいはビートの一種を指す名前のようであります。奴隷なのでドラムを使うわけにいかず、しかしそれでも楽しみたい彼らは、踊りながら自分達の体をパチパチ叩いてリズムを刻むことによって自らの娯楽を作り出したのでした(パチパチパンチのようなものですね)。もともとは食料にもずいぶん困っていた奴隷達が大家族を養うために考え出した肉の骨を煮込んだスープのことを"Hambone(ハムの骨)"と呼んでいましたが、「ごく限られた素材から節約と創造性でもって新しいものを生み出す」という精神が共通したものであるということでダンスのこともハンボーンと呼ぶようになったのだそうです。

この曲の中で聞こえるカスタネット乱打してるような音が"Hambone"です。このハンボーン・ビートはボ・ディドリーのドンツクビート発明にも影響を与えたという説もあるそうです。あと、上の四コマにおいても言及のある冗談音楽のスパイク・ジョーンズ(マルコビッチの人じゃないですよ)からの影響も、下敷きをくねくねさせてるみたいな音とかピュンピュンいってる飛ばし系の音の多用に見ることができます。ベルシスターズと一緒に歌ってるフィル・ハリスという人もそっち関連の人みたいです多分。(どっち関連?うーん・・・冗談関連?)

まようするに、この曲はかなりのハイブリッドなわけです。ディープなアフロアメリカンの伝統を洒脱なオーケストラと育ちのいい姉妹がやっちゃう。それは白人の資本主義による黒人文化の搾取じゃないかという意見もあるだろうし否定はしませんが、それよりもその結果がこんな変でおもしろいものになったということのほうに僕は意味を見出します。そして、これはまたもう一つのハイブリッド(あいのこ)であるドゥーワップと兄弟、姉妹関係にあると言うこともできるんじゃないでしょうか?

しかしながら、50年代半ばからドゥーワップが全米で大爆発して黒人も白人も巻き込んでエライことになってついにはロックンロールという奇跡の子を生み出す一方で、ベルシスターズは特に目立った活躍をすることもなく活動を休止します。


60年代初頭にリリースされた別バージョン"Hambone / Red Saunders & His Orch. with Dolores Hawkins & The Hambone Kids"は原曲よりもより黒っぽい雰囲気が強く、10年の間にアメリカの大衆音楽のテイストがどのように変わっていったかをよく現しています。このバージョンを使ってコメディアンがなんかテレビ番組をやってたりもしたそうです。

歌詞のページにはこのRed Saundersという人とLeon Washingtonがコンポーザーとして載っています。おそらく黒人達の間で伝承されてきた歌をバンド用に書き直した、というのが正しいかとは思います。ウィキペディアを見た印象では彼らはどちらも黒人のジャズミュージシャンであったようです。Red Saundersは一時期Sun Raを使っていたという記述も・・・



恐ろしくなってきました。
これ以上深入りすればアフリカどころか宇宙の果てまで持っていかれそうなので、そろそろ調査はやめたほうがいい気がします。


これはアメリカの前衛作曲家エドガー・ヴァレーズという人の作曲した曲です。僕はこのヴァレーズとハンボーンになんらかの関係があるんではないかとフランクザッパから逆算した大胆予想をしていたのですが、今のところ何も関連は見つかっていません。

あと、数年前に今はもう存在しない「The Voice Of Girls」というサイト(本当に素晴らしいサイトでした)の掲示板にハンボーンのことを書いたら、ある人が"Crambone"という曲のことを教えてくださいました。トムとジェリーのなかに出てくることで有名なこの歌も、跳ねたリズムと魔術的なスキャットが特徴的な不思議な歌です。日本語版の主題歌「なかよくけんかしな」にもちゃんと同じマジックがかかってるのが不思議です。三木鶏郎作曲。

あーそろそろ木星が見えてきたのでこのへんでやめます
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# by kadooma | 2011-01-08 03:33

Limehouse Blues



ジャンゴ・ラインハルトによる「ライムハウス・ブルース」を聴きながらどうぞ。

ライムハウスという町に一年近く住んでいたことがあります。ロンドンでは有数の錆びれた下町で、オリンピック開催に関係したジェントリフィケーションの兆しはちらほら伺えるものの、まだまだ空家、スクワット、怪しげな商店、ゲイバーが軒を連ねるという活気は消えません。観光的な見地から言えばほとんど何もないこの町(でもCable Street StudioTroxyなど音楽ヴェニューはいいのがあります)ですが、歴史を紐解くとなかなか興味深い事実が見受けられます。そして現在のこの町に漂う怪しげなオーラが実は世紀を超えて受け継がれてきたある種の伝統であることに気づくでしょう。

もともとはテムズ川を使った船による荷揚げの要所で、造船なども盛んであったらしく、ライムハウス(石灰置き場)という名前もその名残りのようです。徳川家康に仕えた三浦按針ことウィリアム・アダムスもここで船大工をしていたという記述がWikipediaにありました。

で、国際的な貿易に携わる港町の定めとして、ありとあらゆる人種、民族、動物、麻薬、娼婦、ヤクザ、ゴロツキ、物好き、宣教師、料理人、商人、などがチャンスや金や安らぎを求めて住み着き始めます。中華街も形成され、阿片窟もたくさんあったそうな。
第二次世界大戦中に爆撃を受けたこともあり、中華街は別の場所へと移っていきましたが、怪しげな雰囲気は消え去ることはなく、多分そのまま今に至る。

a0191086_017225.jpgおもしろいことに、1960年に、シチュアシオニスト・インターナショナルがコマーシャルロードにある英国海員組合会館で会合を持ったそうです。ライムハウスが会合の場に選ばれた経緯は以下のとおり。

「SIの第4回大会は、1959年5月に開催されたミュンヒェン大会から17ヶ月後、1960年9月24日から28日まで、ロンドンのイーストエンドの秘密の場所で開かれた。ロンドンに結集したシチュアシオニストは、ドゥボール、ジャクリーヌ・ド・ヨング、ヨルン、コターニィ、カティア・リンデル*1、ヨルゲン・ナッシュ、プレム*2、シュトゥルム*3、モーリス・ヴィッカールとH・P・ツィンマーであった。大会の討議は、実は、ロンドンの芸術関係者や新聞・雑誌記者との接触を巧妙に避けた場所として、「犯罪者が多いことで名高い」(『シュプール』誌、第2号)ライムハウス地区にある「英国海員組合会館」で行われた。」
アンテルナシオナル・シチュアシオニスト第5号(1960年 12月)より。

うーん違いない。その後から現在に至るまでの歴史についてはよくは知りませんが、あまり陽気なものではなかった、というかどちらかというと悲惨なものであったということは想像に難くありません。

実際に、長く住むにつれてだんだんと居心地が良くなっていく一方で、なんとなく気分が陰鬱になっていくような磁場のようなものを感じたりもしました。まあどんな町でも多かれ少なかれそうなのかもしれませんが。いくら古い家を壊してモダンなフラットを立てても、この地区の小便臭さを無くしてしまうのは不可能であるように思えます。それがいいのか悪いのか、100%の自信を持って断言はできませんが、元住民としての気持ちを言うならば「ほっといてくれないかな。」というのが本音ではあります、


良くないいことばかり書いてしまったみたいですが、ぜひ東ロンドンにお立ち寄りの際にはライムハウスにも足を運んでみてください。
ヒッチコックが住んでいたという魚屋の建物も現存していますが、内部は完全な廃墟です。「裏窓」もこのあたりが舞台ですねそういえば。






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Limehouse Blues その他のバージョン。The Mills Blothers, Nancy Sinatra, Annie Rossなどのバージョンは歌入りです


And those weird China blues / Never go away
あの奇妙なチャイナブルーズが 頭から離れない
Sad, mad blues / For all the while they seem to say
悲しく、狂ったブルーズ、 それはずっとこう繰り返しているようにも聞こえる

Oh, Limehouse kid / Oh, oh, Limehouse kid
おお、ライムハウス・キッドよ、 ライムハウスの子供よ、
Goin' the way / That the rest of them did
他の子供たちが行った道を お前も辿りつつある
Poor broken blossom / And nobody's child
無残にもバラされたつぼみ、 親のない子
Haunting and taunting / You're just kind of wild
呪いと嘲り、 お前はまさに野生のもの

Oh, Limehouse blues / I've the real Limehouse blues
おお、ライムハウス・ブルーズ これこそ本当のライムハウスの憂鬱 
Can't seem to shake off / Those real China blues
この本物のチャイナブルーズを 払いのけることはできそうにない
Rings on your fingers / And tears for your crown
お前のしている指輪 そしてお前の母国のために流す涙
That is the story / Of old Chinatown
これは古びたチャイナタウンのお話
Rings on your fingers / And tears for your crown
That is the story / Of old Chinatown

(Written by: Philip Braham; Douglas Furber )
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# by kadooma | 2011-01-07 12:43


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